歯根破折とは歯の根っこの部分が折れる、もしくは、ひびが入る疾患状態です。
割れた隙間に細菌感染が起こると治療が困難となり、予後不良となります。
生活歯に起こることは稀で、ほとんどの場合は失活歯に起こります。
※黄色矢印が歯根破折部位です。
歯根破折による歯の喪失は全体の約12%です。( なぜ、歯を失った? )
歯周病やむし歯に比べると少ない数字です。
しかし、歯根破折には歯周病やむし歯にはない大きな問題があります。
それは予想が非常に難しいこと。
徐々に悪くなっていくのではなく、Sudden Death(突然死)を起こします。
歯周病とむし歯は細菌感染症です。
だから、きちんとしたメインテナンスを受ければ、ほとんど管理ができます。
左の円グラフは一般的な歯を失う原因内訳です。 右の円グラフは定期的にメインテナンスを受けている方の歯を失う原因内訳です。
当然、メインテンナスを受けている方の方が、失った歯の総数は圧倒的に少なくなります。
メインテナンスの仕方、内容によって原因内訳は多少変わりますが、一般の場合に比べ、大きく傾向が違うことが分かります。
歯根破折は予測、予防することが非常に困難ということです。
それでは、歯根破折で歯を失った場合、欠損治療をどうするかという本題です。
まず、1番重要なのは破折した原因を考えることです。
外傷により強い力が歯にかかり、折れてしまった場合は不幸ではありますが、 欠損治療は難しいものではありません。
また、弱い力でも歯が折れてしまう状態の歯が折れた
場合も欠損治療は比較的簡単です。
例えば、過去何度も治療を繰り返し、
自分の歯の部分が少なくなっているとします。
そんな歯は歯質が薄くなり、太い支柱が入っていて、
破折しやすい状態と言えるでしょう。
そんな歯が破折したのであれば、
その歯だけの問題です。
しかし、歯にはそれほど問題がないのに歯根破折を起こした場合は一考を要します。
この歯根破折の原因はほとんどが「継続的にかかる過剰な力」です。
過剰な力は咬合不正と習癖(主に歯ぎしりと食い縛り)、咬合支持不足から作り出されます。
過剰な力は歯根破折に限らず、歯にとって最大の敵です。
歯周病やむし歯などの細菌感染はメインテンナスで管理しやすいですが、
力のコントロールは困難です。
歯の喪失原因となった過剰な力が解決されていないまま、欠損治療を行うのは危険なことです。
咬合不正や習癖によるものであれば、矯正治療やナイトガードなどの治療が先に必要です。
咬合支持不足によるものであれば、インプラント治療は最適だと言えます。
いずれにしろ、歯根破折の場合、その原因を究明した後、長期安定が望める治療計画を 立案することが大切です。
・あなたのインプラント
歯を失った原因から欠損治療を考察した後は、歯の欠損数から、最適な欠損治療を考えましょう。