インプラント埋入処置の術式は1回法と2回法に分けられます。
1960年代に「現代デンタルインプラントの祖」ブローネマルク博士がインプラントを開発した頃は2回法だけでした。
1回や2回は何の数かと言うと、外科処置の数です。
インプラントを埋入するところまでどちらも同じです。
それでは、1回法と2回法の違いを説明しましょう。
インプラント埋入処置のとき、インプラントの頭を口の中に見せるようにして、
終わるのが1回法です。
1回法ではインプラント埋入処置において、インプラント体にヒーリングアバットメントを装着します。
ヒーリングアバットメントは背が高いため、粘膜を貫通して、口の中に頭が見えます。
<利点>
何より、外科処置が1回で済むことにつきます。
患者さんの負担も少なく、治療もシンプルになります。
<留意点>
埋入直後から、口の中に露出しているので、感染リスクが高くなります。
骨造成が必要な場合や感染しやすい状況の場合は適応できません。
インプラント埋入処置のとき、インプラント体を粘膜(歯ぐき)の下に完全に隠してしまうのが2回法です。
2回法ではインプラント埋入処置において、インプラント体にカバースクリューを装着します。
2回法においては、インプラント体がオッセオインテグレーション後、2回目の外科処置が必要になります。
1回目に比べ、非常に簡易です。
インプラント体の頭を出し、カバースクリューからヒーリングアバットメントに変える処置です。
これを2次手術(2次オペ)と言います。
詳しくは2次手術をご参照ください。
<利点>
インプラントにとって、不安定な免荷期間中(オッセオインテグレーション前の時期)を感染しにくい粘膜下で過ごせることが最大の利点になります。
よって、骨造成を行うときは閉鎖創にできる2回法となります。
また、免荷期間中にインプラント体に力が加わらないので、オッセオインテグレーションにより適した環境を作ることができます。
インプラント治療は歯を丸々1本作り出す治療です。 その中で、外科処置を2回に分けることにより、完成形の自由度が高くなります。
<留意点>
外科処置が2回必要になることです。
2次手術は比較的小さな処置ですが、患者さんの負担は1回法に比べ大きくなります。
術者としても、様々なテクニックの習得が必要になります。
以上が1回法と2回法の違いです。
現在、昭和歯科医院では基本的には骨造成不要の下顎へのインプラントのみ1回法で行っています。
骨質や埋入本数、時間的制約などを考慮して、最適な方法で行うよう努めています。